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<序>

 

私は理数系が大の苦手だ。そのせいで単位認定不足を起こし、卒業式に出席することができなかったほどである。しかし、現にこうして、東大の合格体験記を書いているわけでもある。オールラウンドに何でもできる優等生タイプばかりが東大に入学するわけではない。大の苦手科目を抱え、他の国立大学への進学をあきらめているのに、入試制度上、東大にだけは入学できる、という私のような人物もいる。私の文章を希望として、東大を目指す人が増えるかもしれない。また、そうなって欲しいと願うからこそ、この体験記の執筆にも自然と力が入る。たとえ学校での席次が300番代であったり真ん中以下であってもあきらめないで欲しい。東大前期試験は、席次も良い、優等生的な人間を欲している。成績が悪かったら、致命的である。しかし、東大後期試験は、たとえ微積はできなくとも、自分の頭で物事を考えることのできる人間を欲しがっている。あなたが、何らかの理由で東大に魅力を感じているのに、オールラウンドに勉強をできるタイプではないために東大受験をあきらめている場合、以下に私が描くschemeを参考にして欲しいと思う。後期試験(2次試験)には、第1に英語の能力、第2に思考能力、第3に論述能力が求められる。

 

 

<後期試験というシステム>

 

 

私は前期不合格の結果敗者復活戦として後期試験を受けたわけではない。後期しか受けていない、いわゆる後期専願である。東大には、後期試験というシステムがある。センターで、英語・国語・地歴から1教科・公民から1教科、という計4科目の総点を8割5分近く取り、なおかつ2次試験を充分に戦える英語力と小論文の力さえ持ち合わせていれば、東大に入ることができる。2次試験は、文系各類共通の論文1と各類別々の論文2に分かれており、論文1では1500字程度の英語で書かれた課題文を読解し、日本語での350字の内容説明記述を2つ、そして課題文に対する日本語でのディベート型(賛成・反対型)の論述を700字で行う。論文2では、すべて日本語で2400字の論述を行う。

 

 

東大後期試験は、文章を書くことが得意な人間にとっては、前期試験よりも楽なものだといえよう。前期試験では、いかに各教科(数学・社会など)の内容を正確に<受信>しているかが問われる。それに対して、後期試験では、いかに自分の言葉で柔軟に<発信>出来るかが問われている。<発信>が得意な人間にとっては、<受信>の労が少ない分、後期試験のほうが楽なのである。ただし、後期試験でもある程度の<受信>が必要であることは言うまでもないし(センター用に+論文試験のための常識として、そしてもちろん大学に入ったら各教科の基礎の<受信>が不足している分苦労しなければならないだろう)、通常の科目とは違い「読書」という特殊な<受信>が求められていることも付け加えておきたい。

とにかく、「後期は運次第」といわれるが決してそんなことはなく、たとえ後期専願でも、文章を書くことが得意で、それなりの対策を立てた人は受かっているということを伝えたいと思う(私もそうだし、ネット上でもそういう人は多くいた)。約50人という定員も、難関大学の医学部などと比べるとはるかに多い。もっとも、自己賛美のために言うわけでは決してないが、東大後期試験は決して簡単なものではない。たとえば私は慶応総合政策(英語・小論文という組み合わせでの受験が一般的)にも合格しているのだが、東大後期(文3)と比べた場合、人文系・社会科学系という差異を超えて、試験問題の質的な難易度はかなり異なると私は感じた。 

 


<慶応と東大後期の小論文の性質のちがい>  

 

 

まず、小論文(論文2)における違いを述べよう。慶応の場合、課題文の論点を的確に見抜き要約する力(私大小論文において最も求められている能力)さえあれば、新書や参考書で仕入れたネタを課題文の要約に少し加えるだけでしばしば通じる。(インターネット上の掲示板で、SFC合格者の答案内容を復元しあった結果そのような傾向が見られた)しかし後期文3論文2では、自分の「思考した」という形跡を残した答案(自分の頭で考えて書いた答案=自分の体感覚から言葉を発した答案)しか合格答案とならない。

理由は二つ考えられる。第1に、東大後期の小論文では書くべき字数が多いからである。SFCや慶応法学部・早稲田などは約1000字なのに対して、文3では2400字もの論述を要求される。文章の形を整え、自分の知っている知識(=ネタ)を盛り込んだだけで2400字は埋まらない。長い文章を書けば書くほど、書き手の思考力は顕在化していくものである。後期志望なら、今すぐ2400字の小論文を今年の過去問で書いてみることだ。自分の頭で考え論述しなければ2400字は埋まらないし、ネタの焼き直しでたとえ字数が埋まったとしてもひどく空疎な答案になってしまう、ということが痛感されるはずである。

第2に、問題の内容(質)自体が異なるからである。たとえば、総合政策の小論文では、各課題文の論点を有機的につなぐことさえできればほぼ合格すると思われる。それに対して、2001年の文3の入試問題を見てもらいたい。写真3つからどのような論点を設定し、それをどう深めていくかが問われている。あらかじめ用意された、つなぐべき論点は存在しない。一から、自分で文章を構築せねばならない。おざなりのクローン批判・西欧近代文明批判を行ったり、代ゼミ・笹井厚志のように「主体的に生きろ」とがなりたてたところで何の役にも立たない。ちなみに私は「目のもつ精神性」というテーマで考察した。もちろん、そのテーマについてあらかじめ何の知識(=ネタ)も持ち合わせていなかった。そこで、試験の現場で「目」をめぐる不可思議性を考察し、その考察の過程をありのままに論述した。私が論述したのは、すべて自分の体感覚から出た言葉だった。その結果、1840字しか埋めることができなかったにもかかわらず、合格することができた。私の答案内容はそれほど優れていたわけではないと思う。しかし、自分の頭で考えた、という形跡を残せたという自信はある。「独創的な意見を特に評価する」という大学側の意向にうまく沿うことができたのかもしれない。思うに、東京大学の求めている「独創性」とは、奇抜なアイディアや常識はずれな発想のことではないだろう。受験参考書などに掲載されている既製の論法に依存せず、自分自身の思考力をもって論理構成すること、換言すれば、借り物でない枠組みを自分で作り上げて論じることが、要するに「自分の体感覚から言葉を発する」ということなのではないだろうか。そう切に感じる。

 

 

<慶応と東大後期の英語の傾向のちがい>

 

 

次に、英語における違いを述べよう。いわゆる「超長文」の二大巨頭であるSFCと東大後期論文1とを比較してみたい。SFCと東大後期の英語は、かつて問題文が全く同一の出典だったこともあるほど、似通ったものである。その意味で、SFCの試験問題を読むことは後期対策として非常に優れているのだが、しかし、両者の間には厳然たる違いがある。それは、問題形式である。

SFCをはじめとする私大では内容一致問題などの<選択式>が多いのに対して、東大後期は<内容記述式>である。自分の言葉で、問題文の中身を説明することが要求されている。これの意味するところは大きい。なぜなら、<選択式>では「なんとなく」正解を選ぶことができるのに対し、<内容記述式>では自分の文章に対する理解度がそのまま答案に反映されるからである。<選択式>の試験では隠すことができる細かい英文読解力の不備が、東大後期論文1では答案に明らかに現れてしまう。東大後期ともなれば英語の得意な強者が大勢集まってくる。とすれば、細かい英文読解力の不備は致命的なのである。実際、駿台の分析によれば、誤訳を書いた人はほぼ試験に通っていないらしい。SFCではたとえ文章を大雑把にしか読めなくても、パラグラフリーディング的な読み方をしさえすれば合格ラインに達する(問題文中の3択問題は、ほとんど知識問題)。しかし東大後期では、より正確な読みが求められる。その意味で、<精読>をバカにしてはならない「なんとなく」ではなく、一文一文を正確に把握できる<ミクロの視点>が求められている。もちろん、パラグラフリーディング的な<マクロの視点>も極めて重要であることはいうまでもないだろう。ただ、東大後期論文1の場合、超長文であるのに、私立以上に<ミクロの視点>が大事になるのである。だからこそ、<ミクロの視点>に優れている前期試験受験者は後期試験に受かりやすいのである。

 

 

さて、東大後期試験に対する私の見方をこれまで述べてきたのだが、もし私の見方に賛成してもらえるなら、以下の文章も参考にしてほしい。先に述べた3つの能力を実際に鍛えるために必要な具体的戦略を、私の実体験、あるいは友人たちの意見を基に書いてみた。少しは参考になるだろう。<どの参考書をやったらよいのか>という情報が最もためになると私は思うので、それを中心に書いていきたい。

 

 

1.英語の能力

 

A. ミクロの視点

 

 

<基礎単語・熟語>

 

 

センターまでに確実に身につけておかなければならない英単熟語である。ところで、単熟語(特に単語)は出来るだけ早く覚えるのが良いと思う。単塾語暗記が、英語学習で最も肝要だろう。単熟語を知っていれば、英文がある程度読める。英文がある程度読めれば、文中に出てきた英単熟語が自分の中に定着していく。良い循環が生まれるのだ。単熟語を覚えるという労を早いうちにしなければ、決して英語が得意になりはしない。逆にいえば、その労さえ惜しまなければ、英語は必ずや楽しい得意科目となるだろう。最低限、高3の夏までに終える心意気がないと苦しいと感じる。私は、運良く高2の時点でこれらの単語が身についていた。だからこそ英語が得意科目となり、東大後期に合格したのだと思う。

 

 

話を戻そう。英単語2001やターゲットなどの無味乾燥な単語暗記には耐えられないというあなたには、以下3冊を勧めておきたい。第1に、速読英単語(1)必修編であるが、これは改悪されてしまった。問題文の難易度が下がった結果、読解力のあまり身に付かない代物になってしまったのだ。そこで、もし速読英単語必須編をやるならば、改訂第二版を先輩などから譲ってもらうか、古本屋などで探すことをお勧めしたい。とはいえ、現在はどうやら入手困難であるため、新版でも良いと思う。あるいは、どこの本屋でも平積みされているDuo 3.0 も良いだろう。DUO 3.0 CD復習用 と組み合わせて学習するのが良い。一番気楽に取り組める本だ。ただし、この本では、読解力を同時に身につけることはできない。注意してほしい。また、システム英単語(駿台受験シリーズ) も定番といってよい。連語で覚える方式のため、比較的単語が頭に残りやすい。いずれにせよ、この3冊を手に取り、自分とフィーリングの合ったものを1冊やれば良いのではないか。参考書において、自分との相性が実は一番大事な要素なのだから。熟語については、 速読英熟語(増進会出版)を勧めておきたい。DUOの中でもある程度の熟語の知識は身につくのだが、文中で熟語を覚えさせるというこの本の出来は秀逸であると思う。

 

 

<応用英単語・英熟語>

 

 

2次試験対策レベルの英単熟語である。ところで、12月・1月はセンター試験対策に時間を割くべきだ。センターで門前払いされたらはなしにならないからである。実際、優れた文才を持つ友達がセンターで足を切られ涙を飲んでいた。そこで、これら応用英単熟語を身に付ける時期として考えられるのは、11月まで、あるいはセンター後の1月20日以降ということになる。しかし、実際に後期を専願する場合、私立の受験も兼ねるのが通常だろう。私立の対策に追われ、センター後にじっくりと単語力を養成している暇などない。11月までに、以下に述べる参考書をやれるかどうかが勝負となる。それは私立受験の基礎力ともなるのだから。

まず、速読英単語上級編(増進会出版) である。この参考書で何よりもすばらしいのは、単語レベルに見合った読解力を同時に養成することが出来る点である。この本を終えると、単に単語力がつくだけではなく、読解能力全般が総合的に飛躍する。最近、東大後期論文1の英単語レベルはそれほど高くない。SFCも然り。この参考書1冊でも実際かなり戦える。そこで、この本を<応用英単語力>のベースとし、残りは予備校のテキストに出てくる英単語・模試の試験問題中に出てくる英単語・他の読解参考書の中に出てくる英単語・過去問中に出てくる英単語、などで補うのである。そしてセンター後に、速読英単語ライト&チェツク2で応用英単語のヌケを総チェックし補うのだ。私の感触としては、これで万全だった。応用英熟語は、英文読解中に出会うものを覚えていけばよい。そして、余裕のある人は話題別単語リンガメタリカ(増進会出版) をやってみると良い。今年のSFCの英文トピックはこの本から的中した。入試英語に立ち向かうための背景知識を広く浅く扱っているのがこの本だ。英文で話題とされている内容についての知識があるかどうかは、読解を大きく左右する。まして論文1ともなれば、その英文の話題に対して論述することを求められるのだ。その意味で、単語力がつき、小論文にも役立つこの本をすごくお勧めする。あと、どうしても単語が覚えられない者の裏ワザとして、基礎レベルの英単語に関する英単語Express基礎編(教育メディア社) と、応用レベルの英単語に関する英単語EXPRESS―ハイレベル英単語瞬速記憶シリーズ を挙げておく。

 

 

<英文解釈能力>

 

 

構文把握の力について。以下に述べる参考書は夏の終盤までには終えたい。私立と後期の併願の場合負担が少ないため、比較的容易なことなのではないか。そして、秋以降は単語力の熟成、<マクロの視点>の完成、センター対策などを行っていくのだ。

まず、あまり英文が読めない人にはビジュアル英文解釈 (Part1)駿台レクチャーシリーズ ビジュアル英文解釈 (Part2)駿台レクチャーシリーズ (基礎→応用初歩)→英文読解の透視図(応用)という流れを勧めておく。どちらも名著である。ある程度読める人は、英文読解の透視図のみで良いと思う。あとはボキャブラリーと慣れの問題だと私は感じる。英文解釈教室 はかなり自慰的な参考書なので、東大後期にははっきりいって必要ない。その分の労力を読書やセンター対策にまわそう。

代ゼミの富田一彦は、構文が全く取れない人にとっては良いだろう。なお、よく聞く失敗例だが、宣伝文句につられて、構文が取れないのに西きょうじ(代ゼミ)の「ALL ROUND完璧英語」や今井宏(代ゼミ)の授業を取っては絶対いけない。ただ、代ゼミの英語授業自体全般的にあまり難易度の高いものではないと思うので、それを取ったことで安心してしまわないように。最後に、英文読解において非常に大切なのは、動詞の語法を覚えることである(たとえばcure A of Bなど)。語法は、予備校のテキストの付録などで体系的に学んだ後、実際の英文中で出会った時に定着させていくしかない。「語法を覚える」ということを実際の読解中に常に心がけていたほうが良いと思う。

 

 

B.           マクロの視点

 

 

<パラグラフリーディング的能力>

 

 

 論文1必須である要約系の説明問題で必要とされる、文章の見取り図(地図・概括図)を見抜くための能力(=パラグラフリーディング力・国語力)は、一朝一夕で身に付くものではない。地道な努力が要求される。横山ロジカル・リーディング講義の実況中継 および、それの実践編として、横山ロジカル・リーディング講義の実況中継実戦演習(1) 横山ロジカル・リーディング講義の実況中継実戦演習(2) を強くお勧めしたい。OSPがパラリーの基礎を築く教材だとすれば、ロジリーは応用編である。徹底した同系反復の意識と、main ideaを的確に見抜く能力を与えてくれる。横山氏の通年の講座SPSまたは東進、SPSのほうが良いらしいが)もオススメだ。ところで、賛否両論の今井宏(代ゼミ)のパラリーは、少なくとも東大後期にはほとんど威力を発揮しないので、金を振り込んでしまった人は、西きょうじ(代ゼミ)の「ALL ROUND」か「HYPER-ENGLISH」へ講座変更しよう。それらの講座が扱うパラリーが、代ゼミの中では最も東大後期向けだと思うからだ。予備校としては、駿台の論文講座が質の点において最も良いと思う。

 

 

<実戦練習について>

 

 

 さて、以上に述べた<ミクロ・マクロ>の視点を身に付けたとしても、実戦的な練習無くして合格はおぼつかないだろう。先に述べた参考書や講座で身につけた<マクロの視点>を東大後期の過去問で試すのだ。おすすめは、東京大学〈文科〉―後期日程2005-駿台大学入試完全対策シリーズ だ。 青本の解説が一番信頼できるが、それに掲載されている合格復元答案は、実際の合格答案の平均的レベルより高めのものが掲載されていると思われるのであせらずに。また3大予備校の後期模試は受けておいて絶対損はないし(質的に駿台>河合>代ゼミ)、すべての過去問をやり終えてしまったら、よく言われることだが、TIMEよりもSFCの過去問が良い訓練となるだろう。私も、併願のメリットを多分に受けた。

 

 

2. 小論文

 

 

<心構え>

 

 

小論文対策の詳細についてはこちらのコンテンツも参照してください。論文1の小論文は字数が少ないだけあって、ネタの付け焼刃でも通じてしまう。試験現場では、問3に残された時間が僅かとなることが予想される。だからこそ、新書からネタをストックしておきたい(読むべき新書リストは、代ゼミ講師である「平尾始 小論文」でインターネット検索をかけて出てきたページで見て欲しい。論文2に向けた思考力の基礎ともなるだろう)。私も20分で小論文を仕上げねばならなくなってしまったので、『記号論への招待』岩波新書 のネタをそのままパクったのだが、その際に気をつけたことは、そのネタをあたかも自分の体験談として語るということだった(私の場合、留学中の体験という形にでっち上げた)。もっとも、あくまで論文1だから幸運にも通じた手法なのだろうが。(試験終了時には「やばいかな?」と思っていた)。論文には @思考能力、A論述能力が必要である。以下、具体的に見ていく。

 

 

<思考能力>

 

 

 論文2に不可欠な能力だ。怖いかもしれないが、読書にはたっぷりと時間を取るべきだと切に思う。今まであまり自分の頭で物事を考えてこなかった人にはなおさらそうして欲しい。しかしそうはいっても、私のような現役生はなかなか時間を取れない。そこで、最低でも以下に述べる本を読んで欲しい。もっとも、それまでに読書をしてはいたが、私が「受験用」として意識的に読んだのは以下に述べる本だけなのだ。これだけ読めば、あとは運次第で何とかなるかもしれない。まず、「考える」ための小論文(ちくま新書) 。小論文の参考書の中で、この本がもっとも良質で東大後期に役立つと私は思う。

あとは相談するなりして自分で選んでほしいのだが(それぞれに得意分野があるだろうから、得意分野を伸ばす、あるいは弱点を埋める、という形での読書が望ましい。だから、一律に本を薦めることはできない)。強いてあげるなら、赤本の中でも推薦されているが、小林秀雄の考えるヒント(文春文庫) をじっくりと読もう。ネタを身に付けるためではない。自分の体感覚から言葉を発することの重要性を体で覚えるためである。そして 夜と霧 新版 (みすず書房)。これはアウシュビッツを生き抜いたユダヤ人精神科医の手記というか回想記である。東大後期の模試などには比較的よく登場するが、大学に入ってからも必読文献と名高く、もはや人類の共通財産的な価値を持つ本になっている。収容所という、およそ考えうる限りすべての生きる希望・価値を剥奪された環境で、それでも生き続けるとはどういうことなのか、実に人文的に深い省察がなされている。あとは先に述べた新書のリストの中から選ぶもよし、他に好きな本を読んでも良い。が、とにかく、本を読み、その内容に対していろいろと思索をめぐらせて見ることが大事だ。ありきたりの常識にとらわれた思考様式を変化させる、すなわち思考を活性化させるのだ。できれば読んだあとになにか書いてみることをお勧めする。その内容を、次の小論文で試す、とか。書かなければ、使えるものにはならない

 

 

<論述能力>

 

 

 考えるという作業と、その考えている内容を書く(文章という形に表す)作業とでは、別の能力が必要になる。勝手に自分の意見を書くのではなく、その意見が説得力を持って他者に伝わるように記述する(=論述する)能力を身に付ける必要がある

この能力は現代文の論述問題でも養われるが、800字から1000字程度の小論文を書き添削を受け、また書き直し、それを見てもらうという作業を繰り返しながら身に付けていくのが手っ取り早いと思われる。おすすめなのは、駿台の小論文講座(よく言われるが、駿台の添削はしっかりしている。代ゼミの添削だけは止めたほうが良い、漢字の誤字すら訂正していない時があった)あるいは、Z会の添削もしっかりしているが、いかんせん返却までに時間がかかりすぎるという難点がある。それに、小論文の場合、いかに自分の考えが他者(読み手=添削者)伝わらなかったかを、添削者と実際に会話して確認し、そこでの反省を基に自分の文章の精度を上げていくという作業が非常に重要だと思われる。その意味で、生の添削者と会話できないZ会はやはり良くないかもしれない。予備校ならば、たとえ添削者には会えなくても、返却答案を、授業担当の講師に見せ、講師と討論することができるのだ。

 

 

<小論文で落ち込まないためのコツ>

 

 

 もちろん、後期試験は、「論文」が持つ性格上、前期試験よりも不安定な面は否めないが(だからこそ模試の良い判定・悪い判定はあまり気にしないでほしい)、今まで述べてきたような対策を立てておけば、合格の可能性はぐっと高まると思う。「対策などない」と自分をだまして楽している人もいるが(当然ほとんど不合格)、対策を立てる価値は充分にあると繰り返し主張したい。後期ならば恋愛との両立も可能だろう(それを糧にすら出来るかもしれない)。

「書く内容がない!」と行き詰まってしまうことがよくあった。すごくいらだった。そんなスランプがきっと誰にでもあると思うが、私は、とにかく論文から離れ頭を冷やすことや、読書で頭を活性化させることによって(新しい内容を書けそうな「気になる」ことが大切)解消した。論文はそうそういつも素晴らしいものが書けるわけではない、試験本番は底力が出るだろう、などと気楽に構えるのが一番良い。真剣に考えすぎると、論文に対する自信をなくしてしまうからだ。私に限っていえば、いつも、どこか妥協しながら論文を書いていて、自分で「素晴らしい」と思える論文を書けることなどほとんどなかったのだ。

最後に、論文試験から私は何を得たか。それは、あらゆることに対して「考える」という姿勢である。そして、「考える」ためにはいろんな分野の基礎的知識が必要だということを痛感させられた。それが最大の収穫であって、大学に入る目的や、大学で何をどう学べばよいのかなど、いろいろなことが見えてきた。後期試験があったからこそ、大学に行きたいという思いが、具体的な形を伴って強くなってきたのだ。その意味で、これを読んでいる人にも、後期試験を薦めたいと強く思うのだ。頑張ってください。






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