さて、お久しぶりです。東大で学生に一目置かれている/人気のある教授を気ままに紹介してゆこうというコーナー、start。ただしこのコーナーは人物紹介の網羅性や正確さは全く指向せず、あくまで自分の周りの学生にとってどんな印象であったかということをメインに書いてゆきます。第一回目は哲学研究者/哲学者の高橋哲哉氏。
彼はなんといってもデリダ研究者というイメージがある。「脱構築」で有名なデリダといえば現代思想にとって欠くことの出来ない超大物だ。彼はデリダ人気が過熱する流れにうまく乗ったのかもしれない。とはいえ、頭のキレは半端ない。やはり彼は一流の哲学研究者と感じる。デリダを知ろうとするとき、彼の
![]() | デリダ―脱構築 高橋 哲哉 |
この本は避けて通ることの出来ぬ良質な入門書である。
また、彼独自の活動としては戦後責任論や記憶/忘却をまつわる一連の仕事がある。たとえば従軍慰安婦やアウシュビッツなどの犠牲者の声/記憶は、あまりにも凄すぎて被害者自身が言語化して語ることができず、また社会があまりにも凄すぎる声/記憶を聞きたくない(耳をふさぎたい)という二重の意味で、「忘却の穴」に埋葬されやすい。それを救い出そう、というのが彼のライフワークのごとくなっている印象がある。
とにかく、文1〜文3まで誰でも聞いたことのある名前、マスコミにもよく登場する、色んな意味で時代をときめく男、高橋哲哉は駒場に欠かせないといえよう。