June 02, 2004

一目置かれている人物シリーズ2 柴田元幸

 さて、文学(小説)好きの人なら日本中誰でも知ってるこの男、柴田元幸。実は彼、東大の助教授でもあったりするのだ。英語の翻訳と的確かつ奥ゆかしい言語感覚に関して、彼の右に出るものはいないだろう。ポールオースターにはじまる一連の翻訳、および村上春樹との対談も記憶に新しい。(彼の著作一覧

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 英語英米文学科の彼は、なんと学生の翻訳を添削してくれる。これは本気でたまらない。毎週数ページの英文課題を手渡され、それを日本語に訳して提出すると、次週には朱筆でびっしりと添削されたものが返ってくるのだ。なんて至福。唯一出席できた一限の授業は、彼の翻訳講義だけだった。そう、一限にしないと人数が増えすぎてしまう。数年前には村上春樹も授業に遊びに来たらしい。

 教養(1,2年)学部で開講されるかどうかは年によって異なり運次第だが、東大に入った折りには、ぜひともチェックしたい格別な存在といえよう。

May 24, 2004

一目置かれている人物シリーズ1 高橋哲哉

 さて、お久しぶりです。東大で学生に一目置かれている/人気のある教授を気ままに紹介してゆこうというコーナー、start。ただしこのコーナーは人物紹介の網羅性や正確さは全く指向せず、あくまで自分の周りの学生にとってどんな印象であったかということをメインに書いてゆきます。第一回目は哲学研究者/哲学者の高橋哲哉氏。

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 彼はなんといってもデリダ研究者というイメージがある。「脱構築」で有名なデリダといえば現代思想にとって欠くことの出来ない超大物だ。彼はデリダ人気が過熱する流れにうまく乗ったのかもしれない。とはいえ、頭のキレは半端ない。やはり彼は一流の哲学研究者と感じる。デリダを知ろうとするとき、彼の

デリダ―脱構築
高橋 哲哉

この本は避けて通ることの出来ぬ良質な入門書である。

 また、彼独自の活動としては戦後責任論や記憶/忘却をまつわる一連の仕事がある。たとえば従軍慰安婦やアウシュビッツなどの犠牲者の声/記憶は、あまりにも凄すぎて被害者自身が言語化して語ることができず、また社会があまりにも凄すぎる声/記憶を聞きたくない(耳をふさぎたい)という二重の意味で、「忘却の穴」に埋葬されやすい。それを救い出そう、というのが彼のライフワークのごとくなっている印象がある。

 とにかく、文1〜文3まで誰でも聞いたことのある名前、マスコミにもよく登場する、色んな意味で時代をときめく男、高橋哲哉は駒場に欠かせないといえよう。