January 23, 2005

東大後期試験、ないし小論文の書き方入門

 2005/07/03、ちょっぴり加筆修正しました。『社会科学系小論文のトレーニング』をマンセーしておきます。

 大学受験、入試もいよいよ終盤戦。懐かしのVゴールってかサドンデスですよ。まぁ改めて書くほどのことでもないのだが、精神安定剤のような意味で、このサイトの原点に関するエントリー。前期落ちて「ぶっつけ後期だ対策してねーやべー」って人も想定しながら、若干のコメントをば。

■論文1
 まだ対策立ててないひとは過去問を解くこと。過去問第一。研究せよ。とにかく、要約は点稼ぎポイントなので、落ち着いて丁寧に解くこと。ディベート問題は、論点をひとつに絞って明確に論じることが最大のポイント。字数が少ないので、あなたがAかBどちらの立場に立つかを決めたら、AとBで争われる論点をなるべく狭く絞って、自分の主張の根拠を述べること。だらだらと書かない。絞れば絞るほど切れ味が鋭くなる。

 課題文ではAとBの論点(良い面と悪い面)が両方書かれているはずなので、課題文中に書かれている議論を無視せず、その議論をきちっと受け止めた上で自分の主張を書くこと。これは大事なこと。課題文で扱われているテーマだけ取り出して勝手なことを書くと、点数がつかない。課題文中の議論内容に応答する形で書くこと。なお、どちらの立場を選ぶにしろ、反論を想定して論駁するという形で書くのが望ましい。「たしかに(反対の立場に立つと)〜。しかし、(私の立場では)〜」という形で。譲歩→主張構文。英文読解でさんざん読んできたアレを思いだして。「自分の主張→譲歩→ふたたび自分の主張→結論」。これがディベートの書き方だ。

■文1
 主権国家原理、法の支配、個人と国家、市場原理、近代の法、政治の理念、自由と共同体、人権、民主主義、グローバリゼーションに伴う衝突の問題等。テーマごとに自分の考えを必ずまとめておくこと。時間がある人は、『社会科学系小論文のトレーニング』がかなり役立つでしょう。この参考書は本当にお薦め。腰を据えて取り組もう。ネタがない人は大急ぎで『小論文を学ぶ』を読む。十分な本ではないが、時間がないなら仕方ない。この本を見直す人も、上記の諸問題について自分の考えをまとめるつもりで。前期終了後時間がとれる人は、『小論文を学ぶ』よりもむしろ、『現代法社会学入門』『現代理論法学入門』あたりが相当良いらしいですよ(某優秀な先生絶賛w)。この二冊だけで十分という噂。でも、私も読んだが、これらの本は難易度が高いし、時間がかかるし、骨が折れる。初級者や中級者は、『憲法への招待』からはじめて、その他は小論文対策/読書リストのページを参考にして。とにかく、本当に、あらかじめ各テーマごとに意見をまとめておくと、それを応用して書きやすくなる。精神安定剤にもなるから、やっておくこと。今年は国連ないし国際法関係もクサい気がするのだが、杞憂だろうか。

■文2
 某先生の意見だと、1.『市場社会の思想史 「自由」をどう解釈するか 』、2.『思想としての近代経済学』、3.『現代経済学の名著』の順に、読めるところまで読むのが良いっぽい。というか、これは京大経済論文にも有効な対策。‥と書いたのですが、付記しておきます。第1に、参考書としては、やはり、『社会科学系小論文のトレーニング』がかなりオススメ。とっかかりとして、これをみっちりこなそう。第2に、文2後期はやや特殊な問題形式となっているので、読書だけでは埒があきません。独特の問題に慣れる必要があります。過去問演習+添削を受けましょう。Wieなんかも利用して。

■文3 
 対策なし。あなたの総合力と人間性が試される。一つだけコツをいえば、「課題文に振り回されるな」ということ。自分の得意なテーマに持ち込め。そしてそのテーマから、各課題文に言及していくと、論点を拡散させずにうまく字数を埋めることが出来る。もちろん忘れてはならないのは、設問の要求にちゃんと従うということ。設問文を無視して書き始めると即不合格なので、気をつけて。設問をじっくり吟味する。そして何をベースにするか、自分の得意な主題を意識しながら課題文を読む。そして、自分の得意な主題を、設問要求に応じた形で、展開する。その上で、自分の得意なテーマに、各課題文を「言及する」という形で取り込んで利用してしまえ。

 自分の合格答案よりレベル低くても友人は合格していたみたいなので、安心して。イヤミとか自慢じゃない。もっと論が拡散していても、どこかに鋭さが見られれば受かっていたそうな、ということ。河合塾の解答例なんてちょっと逝ってるしな。どーなんだよコレは。アリなのかな。本当に、最近は設問の縛りがキツイので、設問の指示には十分に配慮すること。東大の公式コメント、文3論文2では「人類の思想、歴史、言語、行動、教育および文化全般に関する諸学をめぐって、入学後それらを意欲的に学習・研究するための基礎を問う。理解力・表現力・思考力をみるが、特に正確な知識に裏付けられた独創性を評価する 」とのこと。去年の問題の合格答案は駿台の過去問集2ch東大後期スレ過去ログ3の>>701&>>711にあるからチェックしてみ。そのうち一人はうちのサイトの常連さんだったけど、今頃何してるんだろうなー。

■いきなり対策なし後期試験
 全く対策を立ててこなかった人は、とにかく過去問を解いてみる。河合塾のサイトのを解いても良いし、駿台の東大後期過去問題集(←これはかなり質が良い)を慌てて買っても良い。もう時期的に過去問演習しかない。そしてネットの人は河合塾の分析コメントと照らし合わせてみる。過去3年分くらいはやっておくこと。あとは時間がないから、あなたの底力しだい。でも受かるヤツは受かるんで、自信を持って。才能があれば、突破できる。設問の指示をきちっと意識して、課題文をうまく利用しながら書こう。また、論点を絞り明確にしながら書くこと。「自分の主張→譲歩→再び自分の主張→結論」という小論文の基本構造を意識すること。自分の主張→自分の主張と反対の立場を想定しながら書く→それへの反論を書きながら自分の主張を深める→結論。この基本構造で字数は埋まる。ある意見には論拠をきちっと示すこと。感想文をかかない。繰り返すが、自分の主張には必ず論拠を述べること。反論者を常に想定しながら書くこと。自分で自分に逆の立場に立ったつもりでツッコミながら書くこと。安易に「〜べき」論を書かない。文章に自信があるならば、思い切って自由に書けばよい。

 時間があるなら過去問の添削をWIEに依頼して。大急ぎで相談してみよう。友達か親兄弟に読ませて指摘してもらうだけでも効果アリ。自分だけで処理すると不合格。人様の冷静なコメント(「ここよくわかんない」「論理一貫してなくね?」)を頂こう。そして余裕があれば、書き直すべし。小論文の基礎についてはこの平尾先生のページでも読んどくべし。東大後期の去年のテーマはこれだ。

祈ってるよ。頑張れ!

■小論文の書き方についての一般論
 2ch東大後期スレ3に良いレスを見つけたので、コピペ抜粋&若干の解説を。なお、引用部に付されている下線は、引用者(Gen)がつけたもの。

930 :某所からのコピペ :04/05/14 04:13 ID:DBSmRj71

東大文係經受験生の皆さんへのアドバイスとしては、「問題に対し、あまりに楽観的な形で結論を提示することは避ける。複数の対立する考え方を論じていき、それぞれの持っている問題点についてしっかりと考え悩むという姿勢がはっきり伝わるようにする」ということでしょうか。


「悩むという姿勢がはっきり伝わるようにする」とは、自分の立場への反論を想定しながら書く、ということです。この姿勢が論にあらわれていると、採点官にかなり良い印象を与えることができる。なぜなら、この態度は学問を学ぶ上での貴重な基礎となるものだから。

931 :某所からのコピペ :04/05/14 04:14 ID:DBSmRj71

文1論文2の採点基準は課題文をしっかり理解できているか。課題文のテーマからずれてないか。日本語として怪しくなく,わかり易い文章か。ある程度正確な日本社会に関する知識をもっているのか。主張に客観性と説得力があるか。ってなとこでしょう。


 前期落ちぶっつけ後期試験の人など特に、独創性が足りなくとも、まずはこれらの要素を満たせるようにすること。運が良ければこれだけで受かるのだから。

932 :某所からのコピペ :04/05/14 04:16 ID:DBSmRj71

<ニーチェについて>
 文係經を採点する採点官という事であれば、ニーチェの思想と生涯といった程度の知識はほとんどの人間が知っていると思います。複数の採点官が採点するわけですから、この程度の知識の使用は採点官に問題なく伝わると思って良いと思います。
 何から何まで説明するとなると、その分字数を割かなくてはならないわけですし、前提とする事が可能な知識は無説明で使っていくのも一つのテクではないかと思います。この辺の考え方は微妙なので、しっかりした論理性を求める方は容認しがたいかもしれませんが…。


 ニーチェをロクに読んだこともないのに、高校倫理程度の知識でニーチェを論に用いるのは、逆効果。「正確な知識に裏付けられた独創性を評価する」のが東大後期小論文だということに留意されたい。ニーチェのルサンチマンや永劫回帰の思想を用いたいのであれば、ニーチェという名を出さずに、そのことを自分の言葉で書くことが大切。ニーチェをしっかりと読み込んだことのある人ならば、自由にどうぞ。

934 :某所からのコピペ :04/05/14 05:09 ID:DBSmRj71

タブーについて

・課題文の丸写し(当然)。
・課題文の批評ばかりで自分の意見を書かない。
・与えられた課題に正面から答えていない。
・自分の感想や思い入れを書いて、客観的な理由を書かない。
・思い付くままに原稿用紙を埋めていき、段落ごとに違うテーマが並んでしまい、全体として1つの主張が見えない。
・段落分けが無い、逆に段落が多すぎる。
・読めないほどに字が汚い、または薄い。
・どうしてもそう考えざるを得ない客観的な理由も示さず、ポジティブな主張でまとめず、不平ばかりを述べる。
・作文やエッセーと勘違いした文章を書く。
・話し言葉で書いてしまう。

などなど、いろいろあります。基本的には、自分と反対の意見を持っている
人を説得するつもりで、論じてください。


 私と同じことを言葉をかえて言っていますが、これらは小論文の最低限のマナーです。これらを守らないということは、渋谷の交差点で下半身を露出することと同じです。

935 :某所からのコピペ :04/05/14 05:12 ID:DBSmRj71

>論文って努力したらうまく書けるものなんですか?

「うまく」書く必要は、たぶん、ありません。それほどの高レベルで競っているところはたぶんないのでは、と思います。自分のイイタイコトを他人に伝える、という基本の部分の技術がしっかりしていれば、そんなに致命的なダメージにはならないと思います。それは、「論理的に書く」ということです。

まず、問題文を読んで、今から書く文章での自分の立場をはっきりさせます。そして、まずそれが分かるようにハッキリと書きます。あとは、その立場が妥当だと考えられる根拠を字数制限の中で述べます。ここで大事なのが「論理性」と「客観性」です。自分の意見に共感しない人に対して説得しなければいけません。大多数の人が了解できる根拠を、ひとつひとつ論理的に積み上げて、相手を説得する文章にします。最後にもう一度「以上の理由からこう考えられる」旨をさらっと書いておけば、意見のねじ曲がりはいくらか防げます。詳しくはいろいろポイントはあると思いますが、こうした基本的なポイントは「客観的なもの」としてありますので、そうしたことを考えながら過去問をやったり、講習や添削を受けてみれば、努力する意義はあります。


 「論拠を述べる」ということです。「高レベル」の争いではないというのはその通りだと思いますが、逆に言えば、しっかりと小論対策を積んできた人は、マジで有利ですよ。客観性、とにかく論拠を述べることを忘れずに。

936 :某所からのコピペ :04/05/14 05:14 ID:DBSmRj71

小論文が今になっても全く書けません・・・。なにをどうしたらいいのかわかりません。四部構成とかなんかいわれてもどうやったら四部になるのか?また三部でも同じです。あと、メモをつくれ!と言われてもどうメモをつくるのか?さっぱりわかりません。なにかヒントをください。お願いします。

937 :某所からのコピペ :04/05/14 05:14 ID:DBSmRj71

>>四部構成とかなんかいわれてもどうやったら四部になるのか?
>>また三部でも同じです。

4部構成というのを「起承転結」という形で教わっているなら、それは気にしないで良いです。なぜならこれは「漢詩」、つまり文芸作品の決まりごとなので、そのまま「論文」にあてはめるには問題があります。3部構成というと普通は「序論・本論・結論」の3部構成かと思います。説明文の読み方を習った時の「双括式」と呼ばれる文章の形と(たぶん)同じです。つまり、序論と結論で自分のイイタイコトを端的な「命題」の形で述べて、本論をサンドイッチにします。そして間の「本論」で、自分の主張の理由を論理的に述べます。こうすると、最初と最後にイイタイコトが繰り返してあるので「何が書いてあるのか分からない」という最悪の事態を防げます。当然、本論部分の「論理的な文章の書き方」は十分に訓練する必要があります。その時は、現代文の読解で着目した「接続詞・接続助詞」や「概念語」などのポイントを押さえた形で書いていくことになります。


 『「何が書いてあるのか分からない」という最悪の事態』、これだけは気をつけてください。漫然と書くな。主張の核として「何を一番自分は伝えたいのか」ということを常に意識して。書き方は、自由。とにかくポイントで考える。1.自分の主張の核はなにか、2.それへ想定される反論は何か、3.その反論へどのように再反論できるのか、4.結論はなにか(←これは主張の繰り返しでも良い)。これらのポイントを押さえる。

938 :某所からのコピペ :04/05/14 05:15 ID:DBSmRj71

>>メモをつくれ!と言われてもどうメモをつくるのか?
>>さっぱりわかりません。

骨組みをハッキリ書いておくと言うことですね。道場六三郎さんが最初にメニューを書いてしまうのと同じ(^^;イイタイコトはこれ。で、そのための「根拠」を思い付くまま挙げてみて、並べる。それから、その「根拠」の重要さを比べて、制限字数の中でどの論拠が使えるか選択する。そして、読み手の理解しやすい順番を考えて番号を付ける。そこから本文を書いていけば、いくらか楽です。・・・もっとも、時間が足らなくてメモをとっている余裕などないこともしばしばですが。

あと、小論文というのはたいてい「課題文」がついていて、その内容を踏まえて論じよ、ということが多いです。その場合、「自分のイイタイコト」を書く前に、課題文のポイントとなる部分を手短な言葉で抽出してみることが必要です。そして、「自分のイイタイコト」は、課題文の論じているテーマから外れないように決めなければいけません。


 わたしが当サイトで「メモ書き」を薦めてこなかったのは、メモ書きに時間を取ると「時間が足りなくなる」と思っていたから。というか、自分がそうだった。でもメモ書きをしたい人は、このお方の意見を参考にしてみて。メモ書きを行うメリットは、「骨組み=論の核」をはっきりとさせることができることです。「課題文のポイントとなる部分を手短な言葉で抽出してみる」とは、私が繰り返し述べている、「課題文のへそ(要旨)を見抜く」ということです。1.まず課題文のへそを見抜く(アンダーラインを引くか、言葉にまとめる、2.それに対する自分の意見を考える、3.その意見の論拠を考える=想定される反論とそれへの論駁を考える。これらを手短にメモしても良いということです。


939 :某所からのコピペ :04/05/14 05:16 ID:DBSmRj71

小論文とは、まず何をおいても論文のことであり、論文の書き方(というか目的)というのを知る必要があると思われます。困ったことに、論文というのは、学者共同体の間でしか読まれない(手に入らない)「学会誌」(または「大学紀要」)でしか通常見られない「特殊な」スタイルの文章なので、通常の高校生や受験生が論文の書き方や「目的」というのを知っていることは、ほとんど考えられません。

もう1つ困ったことに、早慶を含むかなりの大学は(年度にも依るとは思いますが)、「小論文」という名前で試験はしているものの、論文を要求していないということです。具体的には、「感想文」や「作文」あるいは出題者が既に「模範解答」を決定していてそれを見抜くだけの「パズル問題」(その多くは思想調査の役割を果たしているだろう)といった類のものを要求していると思われます。

こういう大学に対しては、とにかく採点者が喜びそうなことを見抜く能力と、それを可能な限り巧みに表現する文章力さえあれば、なんとかなりますし、他に対策はないと思います。以下、そういう大学ではない、すなわち「小論文」という名前で「論文」を要求している大学に通じそうな一般論を述べます。論文というのは、まずは、自分が心から正しいと思うことを書くものです。ここで言う「正しい」というのは、倫理的・道義的に「正しい」ということではなく、むしろ「数学的正しさ」ないし「事実的正しさ」というふうに思っていただければよいと思います。そういう意味では、数学の証明や裁判における陳述とどこか似ているところがあるように思います。論文は、たんなる信念や感想の披瀝ではありません。


 これに対するコメントが欲しい方がもしいれば、大学受験掲示板でその旨を述べて下さい。部分的に同意、部分的に非同意です。「採点者が喜びそうなことを見抜く能力」とは、自分の体験なんかをうまく使うことや、たとえばSFC総合政策で教授の好む立場(=新古典派擁護)の立場に立って書くことや、現代の民族問題を自分の痛みのように感じてる素振りを見せたりすること。あるいは、いかにも採点者が期待してそうな立場を演じてみせること。「真摯に考える子だなぁ」という印象を与えること。どうしても課題文に対するネタが思いつかない場合は、最悪、これに逃げこめ。


940 :某所からのコピペ :04/05/14 05:18 ID:DBSmRj71

つぎに言えることは、論文というのは相手を説得するために書くものだ、ということです。学会論文というのは、発表後さまざまなディスカッションや批判にさらされます(良い論文ほどそうなりやすいです)。そういうことを踏まえて、反論というものをある程度予期して、それに対応できるように周到な準備がなされているのが、論文の必要条件と言ってもいいと思います。そのために最低必要なのが「論拠」を書く、ということです。すなわち「なぜ、それが正しいと思うのか」という根拠の提示と論証が、論文の中核になります。論文を書くコツは論拠を書く習慣をつけることだと思われます。ここまでが論文の書き方。

その上で、「良い論文」の書き方、というのを多少提案してみます。
1つは、安易に反論が思いつくような主張はしないということです。かりに論理的主張になっていたとしても、すぐに反論が思いつくようなものは、論文の形式は満たしていても、あまり良い論文とは思えません。すなわち、反論がすぐに思いつくようなら、それに対する「再反論」を企図して論文を書くのが理想ですし誠実な態度と言えるでしょう。反論がすぐに思いつくような主張をすることは、「心から正しいと思うことを書く」ということにも反すると思います。

もう1つは、論文というのは「標的」があるのが通常だ、ということです。すなわち、具体的に説得するべき相手・議論というのを念頭において、それに対する「反論」という形で展開するのが、通常です。この場合、「論敵」のレベル設定は高い方が、良い論文だと思います。低いレベルの「論敵」を論破することは、ある程度の人なら誰でもできることであり(?)、採点者は読んでいてあまり愉快ではないと思います。また、現実味に乏しい「論敵」を設定するのも、読み手の共感を得にくいと思います。そういうのは書いてる方もどこか虚しいのではないでしょうか。ただ、論文というものを読み慣れておらず、学者共同体の内情を知るはずもない一般の受験生が適切な「論敵」を設定することは、通常無理なので、これは必要条件とは思いませんが


 ポイントを整理すると、1.自分の論文は常に他者に反論される(可能性に晒されている)ものだ、2.だから、より強力な反論に耐えられるものほど良い論文だ、3.ゆえに、「より強力な反論」(=a.一般的にそうだと思われていること・常識など、b.現実的な反論)を想定しそれに論駁せよ、ということです。

 私の合格答案(2001年度文3後期)は、今読むと稚拙なんですが、「わたしたちは相手の眼を見ることによって、相手の気持ちを読み取っている」という一般常識=強力な反論に論駁する形で、いわば常識を覆したものとなっています。だから「独創的」だと評価され、合格したのでしょう。でもこのような「常識を覆す」レベルの答案が、入試で常に求められているとは考えられません。それに、失敗したらひどく独善的な論となってしまうので悲劇です。

 とにかく注意すべきは、「あまり現実的ではない反論を想定しない」ということです。たとえば国家政策を論じる問題で、「すべての者は競争原理によって切り捨てられて良い」なんて反論を想定しその仮想敵を論駁したとしても、そのような反論自体あまり現実的ではないので、あなたの論は魅力に乏しくなってしまうでしょう。擬人化した比喩で言えば、アリストテレスとの議論に打ち勝てばあなたは尊敬されるだろうけど、ヒトラーとの議論に打ち勝ってもインパクトはない。国会議員の舛添を言い負かしたら一目置かれるだろうけど、大仁田厚を言葉でやっつけても( ´_ゝ`)フーンである。気をつけてください。

 以上を参考にして。なにかあれば、どうぞ。頑張れ!


投稿者 gen : January 23, 2005 03:11 PM | トラックバック
コメント

突然の質問ですがSFCの「英語・小論文試験」の英語は帰国子女の人たちが集まるし、レベルも帰国子女ぐらいじゃなきゃ解けないくらい難しいから英語・数学で受験することを進められたのですが本当にそんなに難しいのでしょうか?第一志望校は後期専願で東大の文兇任后J惨蠅箸靴藤咤藤辰鮃佑┐討い泙后

Posted by: トッティー : February 28, 2006 06:47 PM
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