夜の静寂、のぼってゆく銀河鉄道

 8月の終盤、静かにひとつの街灯が路地を照らしていた。波の音と虫の音がかすかに共鳴しているのが聞こえる。長袖のシャツ一枚でちょうどいいくらいだ。寂れた秋田県八森駅から秋田市に帰ろうと、ディーゼル車両の到着を待つ。一日中歩き回った世界遺産・白神山地は正直期待はずれだった。それはごく普通の山林に過ぎなかった。さびしい。ふと、目を閉じ唄を口ずさむ。その時だった。遠くに、車輪がきしむ音が聞こえた。目を開ける。銀河鉄道だった。

 見渡す限り明かりなどほとんどない。遠くに連なる山々も真っ黒だ。その中腹をただただ進む鉄道、窓から漏れる灯りが静かにまぶしい。それは本当に、銀河鉄道だった。突然、すべてが許せるような気がした。

#旅の肌に触れた瞬間でした。ちなみに銀河鉄道は、藤城清治さんの影絵が大好きで、これ見るといつも泣きたくなってしまう(画像元LIBRAORIGINALさん;藤城さんのサイトはこちら)。人間の想像力創造力って、本当に凄いな。


Posted by gen at April 6, 2004 03:36 AM | TrackBack(0)
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