失われてしまうもの――桜木町の憂鬱

 そこにいけばそれがあるんだ、という安堵の感じ。いつも思い出すわけじゃないけれど、ちょっと気合入れて出向けばそこにどっしりと構えている、という胸の中のちょっとしたドキドキ。自分にとって、東横線桜木町駅はそんな存在だった。1月30日、今日の終電で損なわれてしまう

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 東横線は、渋谷と横浜そして終点桜木町を結ぶ、赤と銀の鉄道だ。いや、あさってからは「だった」という言葉が正しいのだろう。でも、

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胸の中の桜木町駅は消えない。それは駅というよりは、むしろ自分の記憶の数々。久々のデートに遅刻して階段を駆け下りたり、終電間際の駆け引きで改札をじっと眺めてたり、図書館で疲れた体にホームの冬風の痛さがこたえたり。それでもなんといっても「みなとみらい」のある駅、「甘い」記憶がぎっしり詰まってる。みなと見ない21。ふられた後に歩いて感じた痛さとあきらめとかも。

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 そして、みなとみらい線が開通する。その新しいみなとみらい(旧桜木町地区)の駅はこんな感じらしい。なにかが失われれば、なにかが生まれる。でも‥
 でも渋谷→みなとみらいは、現在の290円から440円と大幅アップ。これ、痛い。東横線と相互乗り入れがあるから一本で行けるらしいけど。あとひとつ忘れてはならない視点。ひとつの路線と駅が滅びるということは、ひとつの街の活気と昔からの生活が色褪せていくということでもある。

 山崎まさよし、One more time one more chance。この曲を歌ったら「桜木町?そんな駅ないっスよ」といわれる日が来るのだろう。でも、時間が経つってのは、おそらくそういうこと。そんなことを自分も繰り返しながら生きてきた。そして、明日からも。土地も時間も心も体も、変わり続けて、失って、生まれて。でも、マジ純粋に悲しいな。今日意味もなく訪れてみよっかな。さようなら、東横線桜木町駅。


Posted by gen at January 30, 2004 04:35 AM | TrackBack(0)
Comments

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桜木町駅はいろんな人たちの思い出がたくさん詰まっている場所だと思う。私もその一人だし。本当にGenさんの言うとおり時代は変わっていくんだよね。でも自分の思い出がたくさんつまった場所がなくなるのって、自分の過去も消されてしまうようでものすごく悲しい。

Posted by: kaleidolife at January 30, 2004 10:20 AM

たしかに。どんな場所が消えても悲しい。けど、駅ってなんか特別な感じがする。そこから何かが始まって、最後にはまたそこで終わる場所だからなのかな。せめて自分の記憶だけは、ますます鮮明にしていきたいものですね。

Posted by: Gen at January 31, 2004 01:16 AM
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