ついに大学院を絞り、留年を決意。

 これは完全に個人的なオナニーエントリーなんで興味ない方はすっ飛ばしてください。

 実は最近ずっと心が沈んでいました。それは将来どのルートに自分をのせるか、定めきれなかったから。とにかくまだ学びたいことがたくさんあるから院に進学しようという決意は、入学当初から持っていたものの、どの領域で(とりあえず)やっていくかを決められなかった。この3年間、毎日問い続けてきた。時々自暴自棄になったりもした。興味はただただ拡散していった。どのスタートラインにも立てなくて、もう駄目かと思った。昨日、ひとつの授業を受けて、ふと迷いが取れた。これ以外の選択肢なら、一回きりの人生を最大限冒険することにはならないだろうと思った。

 出た答えは、文化人類学。近年その学問的手法が徹底的に批判され、枯れた学問だと言われ、将来はないと断言され、学問じゃない文学だと罵倒され、文部省も予算を削減しようと動いたその領域、文化人類学。どん詰まりであればあるほど、チャンスがある。あえてそこに乗らざるを得ない気がする。むしろ自分がやっていることの意義がわからなければわからないほど、死に物狂いになれると思った。醒めたカッコつけができなくなると思った。たとえ食いっぱぐれても、ホームレスになればいい。辛かったら死ねばいい、妻子がいなければ。

 とにかく爽快な気分です。なんか楽しくて仕方ない。心理学は個人的に合わなかった。社会的事象に対して、すべて<心>という場所からスタートして語るやり方は、あまり好きではなかった。たとえば香山リカの語り口も好きではなかった。かといって、臨床心理学に浸りきることにも違和感があった。心の病に取り組む作業以上に、世界について考えたい気持ちのほうが大きかった。でも、哲学は時々しんどくなることがあって、ひたすら書物没頭という生活も無理だろうと思った。そうすれば鬱病にかかる確信があった。また進化の話などの科学的知見にも興味があって、それを含めて何かをやりたかった。頭の中だけからではなく、自分固有の具体的経験から言葉を発したいと思った(身体性)。社会学は専門的に分断化されすぎている気がした。感じた違和感を、「そのうち楽しさを見つけるだろう」という気持ちで誤魔化すのはもう終わりにしようと思った。これで駄目なら、自分がそこまでの人間だったということだ。以下、院試までのロードマップを自分のためにまとめます。オナニー。

★あまりにも不足している知識を補うため、留年してあと2年大学生活を送る。
★院試で第二外国語が必要となるため、とにかくフランス語をコツコツとレベルを上げる。
★文化人類学の基礎的概念を整理し学びなおす。
★構造主義をきちんと原典にあたりながら再学習。
★ポストモダン・ポストコロニアリズム的な言説を再学習。現代思想家の原典を、少しでも文化人類学と関連すると思ったところを手がかりにして、可能な限り読む。ロランバルト、フーコー、デリダ、etc...
★フェミニズムの射程距離を探る。基礎知識レベルの獲得。
★人間・社会・文化を見るための現代的素養として、進化論・生態学・進化心理学などの基礎をきちっと学び直す。こてこての人文系にならないように心がける。
★所詮相対主義、という問いへの答えを探し続ける。
★卒業まで在籍する今の心理学科で、こてこての実証主義から得ることのできるものを最大限引き出す。嫌々やっている今の態度を改める。「心理学科に在籍した」という感触が残るように、心理学の基礎はきちっと抑えておく。統計も中級レベルまでマスターする。
★心理学と文化人類学の学際領域を自分の中に作っていくよう意識的に。
★カルチュラル・スタディーズの「原点」の基礎を学ぶ。今流行の、ではなくて。
★社会学の中のフィールドワーク的手法、たとえばエスノメソドロジーなどの基礎を学ぶ。また状況学習論も基礎レベルをマスター。
★潜在性にかけて、中国語も学び始める。
★実証性は必要、でも結局すべては相対的で「解釈」せざるを得ないという感触を、もっと明確にするため、解釈学の原典にあたる。必然的に、フッサールあたりの現象学も最低限抑えておく。
★卒論と大学院を連動させるため、心理学と文化人類学のはざまで何ができるのかを常に考えながら、早め早めにテーマを設定していく。
★質的研究関連の書物に注意し、研究の「方法論」により自覚的になる。
★「文化」という概念をとことん解体することを意識する。
★授業に出る。
★関連する研究会などには臆せず顔を出していく。
★女・酒に割く時間を減らす。
★院進学してから食ってくために、受験産業で教えるスキルを可能な限りアップしておく。
★短期読書目標をこまめに立てる。
★英単語力のブラッシュアップ。
★遅刻しない。だらけない。

 さて、語るに落ちてしまうんでしょうか。後から見たら恥ずかしいんだろうな、コレ。でもやるしかない。今回ばかりは自分に嘘をつきたくない。


Posted by gen at April 9, 2004 07:40 AM | TrackBack(1)
Comments

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文化人類学を志望した理由、興味深く拝見しました。
質問です。
私は学外から、受験を考えているのですが、
第二外国語は、英語にすると
通るのはかえってむずかしいのでしょうか?
(いままで合格者がいるのかどうか)
お教えいただけると幸いです。

Posted by: 縄文人 at October 1, 2004 09:48 PM

縄文人さん、はじめまして。
コメントが大幅に遅れてごめんなさい。

第二外国語が英語だからと言って不利になるわけでもないし、過去に合格者もいる模様です。安心してくださいね。

Posted by: Gen at November 15, 2004 12:50 AM

たまたま大学の授業のことを検索しててたどり着きました。
文化人類学、すごくいいですねー。
うまく言えないけど、すごくバランスがとれてて、あえて白黒つけない勇気がある学問だなと思います。
文部省が予算削減するつもりなのは知らなかったけど(笑)、すごくいい選択をされたと思います。
なんか文化人類学好きなので応援コメントをつけたくなっちゃいました。
研究頑張ってください。これからもたまにブログ読ませてもらいますね。

Posted by: えり at December 19, 2005 10:54 AM
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