第一印象と血液型の心理学

 第一印象は大きい。これはどうしようもなく大きい。心理学的にも裏付けられて、大きい。

 心理学的実験でその存在が実証されている、「確証バイアス」という心のある傾向。それは「自分がもっている仮説を確かめるときに、その仮説に合致する証拠を重視する傾向」を指す。わかりやすくいえば、自分が「こうだ!」と思ったら、その自分の考えと一致する証拠ばかりを探してしまい、それを否定するような証拠は見ないようにしてしまう思考の癖のこと。

 初対面のとき、カッコイイ!と思う。するとその後、彼のカッコイイところばかり目につき、駄目なところは霞んでしまう。優秀だ!という印象にしろ、インチキ臭い!という印象にしろ、同じこと。だから初対面のときは、とにかく頑張る。もちろん後で印象は覆せるにしろ、それはコスト的に面倒なこと。

 A型は几帳面。広く信じられている血液型性格判断。でもこれは、心理学的実験では、何度やっても、そんなことはないという結果になる(詳細はこちら)。とにかく、科学的にはまったく証明されない。おそらく先程の「確証バイアス」なるものが働いていて、「A型=几帳面」という面ばかり見てしまい、それを否定するような例は、見逃してしまう。

 それでも、血液型性格判断は楽しい。とにかく、楽しい。ひとつのものの見方が広がるから。星占いだって、同じだ。話題も増える。もし血液型性格判断の話がなかったら、合コンはヤバイ。会話のネタが減る。そう、それはひとつの意味の世界を増やしてくれる。ひとつの「なるほど」を増やしてくれる。でもそれは事実ではないのだから、血液型で人の性格を「こうだ」と決めつけるのは良くない。もし血液型で就職が決められたなら?悲劇以外のなにものでもない。

 個人的に、(現在大学で主流の実験)心理学はつまらない。おとといのコンパ幹事論を見てもわかるように、「語る言葉はそれしかないのか!」と思ってしまう。豊かな意味の世界を創造するのではなく、実験に実験を重ねて、生の彩りある価値の世界を、無色なひとつの概念に還元してしまう。つまらない。逆に、思想や哲学はどうか?それは、あらたな意味を、価値を創造する。「存在」というひとつの単語でさえ、哲学的に語りはじめれば、何週間も話題は尽きない。

 しかし、血液型の話のように、それが事実であるかどうかを判定する作業は必要だ。事実でないならば、それに基づいて判断するのは、倫理的に許されない。悲劇を生む。不当な差別を煽ってしまう。だから、心理学的実験にも語り尽くせないほどの意味がある。

 それでも、つまらないのだ。意味や価値を創造したい。生活世界に、ひとつの彩りを加えたい。なんとか心理学の枠の中で、実証と「意味の創造」というふたつの作業に、折り合いをつけさせることはできないものか。そんな心理学は不可能なのだろうか。この苦闘の毎日が、最近のGenの近況報告です。

#じゃあ、哲学と小説はどう違う?このことを考えないと、思想を語る資格は、おそらく、ない。


Posted by gen at February 24, 2004 10:56 AM | TrackBack(0)
Comments

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これは、かなり前だけど、シリーズで読んだわ。
それ以来・・・わたしのなかでは、バイブル化。
もうほとんど、自分の中で消化しきって、大活躍してくれている。
血液型は、人付き合い上で、欠かせなくなってしまった。

Posted by: kaori at February 26, 2004 08:37 AM

それが調べてみるとどうやら全く関係ないらしいんですよ、性格と血液型。

でもこんな俺でも、「ああやっぱO型だな」とか考えながら日々送ったりもしてます。
無いよりはあったほうが生活が豊かになる気がしますよね。
突き詰めていけば、あらゆることに関して、なにが嘘でなにが本当ななんて、
非常に曖昧なわけですから。

Posted by: Gen at February 26, 2004 04:38 PM

2週間ぐらい前にホムンクロスと言う番組で北海道大学の
脳の研究で有名な澤口俊之という人が昔は関係無いと言
われていたが、最近は科学的に関係があると言う意見が
多いとかなんとか言ってました。心理学と脳科学では違うのかも。。

Posted by: tarou at March 10, 2004 03:48 PM

はじめまして。

ざっとネットを使って澤口さんに関する情報を収集したかぎりにおいては、厳密な意味で、今まで言われていたような、たとえばA型=几帳面みたいな説が脳科学的に支持されたわけじゃないと感じました。

と言うよりも、彼の説はたとえば「novelty seeking(新奇追求性)」と遺伝子の形質との関連についての話だったりしませんでしたか?

もっともそのテレビを観ていないので何とも言い難いです。引き続き、真偽を探ってみることにします。とにかく、貴重なコメントをありがとうございました。

Posted by: Gen at March 10, 2004 10:09 PM
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